どのような病気ですか?
足の血管(静脈)がこぶ状にふくらむ病気です。足の静脈には、血液の逆流を防ぐための弁があります。しかし、この弁が正常に働かなくなると、血液の逆流が起こって「静脈瘤」と呼ばれるこぶが形成されます。
自然に治ることはありますか?
静脈瘤が形成されると、自然に治ることはありません。但し、妊娠時にホルモンの影響により発生する小さな静脈瘤は治ることがあります。
命に関わる病気ですか?
下肢静脈瘤そのものが患者様の生命に関わるような重大な病気に発展することはありません。また、足を切断しないといけないような事態にもならないため、過度に心配する必要はありません。しかし、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などが原因で下肢静脈瘤が発症している場合もありますので、是非とも専門医の診察を受けることをお勧めします。
年齢とともに発症リスクが上がるのはなぜでしょうか?
ふくらはぎの筋肉には、血液を心臓に戻す働き(筋ポンプ作用)があります。年とともに筋肉量が減り筋ポンプ作用が衰えるため、下肢静脈瘤が発症しやすくなります。また、下肢静脈瘤は自然には治らないので、年齢が高くなるにつれ、発症リスクは高くなります。
予防する方法はありますか?
ふくらはぎの筋ポンプ作用が血液循環を促しています。適度な運動で足の筋肉を維持しましょう。また、長時間の立ち仕事をしている方は、できるだけ足を動かしたり運動したりするのがよいでしょう。
飲み薬で治療できますか?
この病気は、静脈の弁が壊れることによる血液の逆流が原因です。現在のところ、弁の改善に有効な薬はありません。下肢静脈瘤を完治するには、血液が逆流している静脈を取り除く「ストリッピング手術」や、血管内でレーザーを照射し、その熱によって血管を塞ぐ「血管内レーザー治療」といった手術が必要になります。
治療しなくても大丈夫ですか?
この病気は自然に治ることはありません。また、病状が進行すると、血栓が生じて炎症を起こしたり、さらに重症化すると皮膚が変色し、潰瘍ができて出血することもあります。少しでも気になる症状があったら、ためらわずに専門医の診察を受けましょう。
どのような治療方法がありますか?
静脈瘤の状態により、様々な治療法があります。軽症の場合には、弾性ストッキングや弾性包帯で足を圧迫し、血液のうっ血や逆流を防ぐ「圧迫療法」を行います。また、静脈内に硬化剤を注射し、逆流している静脈を閉塞させる「硬化療法」が効果的な場合があります。一方、進行した静脈瘤には、血液が逆流している静脈を取り除く「ストリッピング手術」や、血管内でレーザーを照射し、その熱によって血管を塞ぐ「血管内レーザー治療」という方法があります。
弾性ストッキングとは何ですか?
弾性ストッキングは弾力性を持った特殊なストッキングです。着用して脚を圧迫することにより、血液の循環を良くし、うっ血症状を改善します。あくまでも進行防止が目的で、下肢静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、初期治療には効果的です。
血管内レーザー治療はどのような方が適応になりますか?
大伏在静脈または小伏在静脈に弁不全による血液の逆流があり、下肢静脈瘤のさまざまな症状(むくみ、痛み、足がつる、血管が浮き出ている等)を認める方が、適応となります。
血管内レーザー治療後の傷跡はどの程度でしょうか?
膝の周辺1ヶ所から細いレーザーファイバーを目的の静脈内に挿入し、レーザーを照射する手術です。そのため、皮膚の傷跡はほとんど残りません。
血管内レーザー治療にかかる時間はどのくらいですか?
静脈瘤の状態によりますが、治療時間はおおよそ30分から1時間程度です。局所麻酔で治療する場合は、手術終了から数時間で帰宅することも可能です。
血管内レーザー治療を受ける場合、入院は必要ですか?
局所麻酔で治療する場合、入院の必要はありません。麻酔の種類によっては入院が必要な場合もあります。