知ってください下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤とは?

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、足の血管(静脈)が
こぶ(瘤)のようにふくらむ病気です。

血液の逆流を防ぐための弁(静脈弁)が正常に働かなくなり、血液の逆流がおこって、血管がこぶのようにふくらむ病気です。
命にかかわるような病気ではありませんが、足のむくみや痛みなど、様々な症状を引き起こします。

おもな症状

足が…

だるい、疲れやすい

むくんでいる

痛い(ズキズキする、重苦しい)

つりやすい(こむら返り)

熱くほてるように感じられる

血管が…

ボコボコとふくらんでいる

浮き出て見える

皮膚が…

茶褐色になる、黒ずんで見える(色素沈着)

潰瘍ができる、破れて出血がある、ただれる

かゆい、治りにくい湿疹が出る

※症状には個人差があり、上記以外の症状が発生する場合もあります。

おもな原因

立ち仕事

美容師, 調理師, 店員など、長時間立ち仕事をされる方は発症しやすい傾向にあります。

妊娠・出産

妊娠や出産を契機に発症することがあります。

遺伝

ご家族に下肢静脈瘤の方がいる場合、発症率が高くなります。

他にも…

加齢とともに発症しやすくなります。

女性のほうが男性に比べて、およそ3:1の割合で多く発症しています。

おもな検査方法

問診 視診 触診

診察にて現在の足の症状を確認します。

超音波検査(エコー検査)

超音波診断装置を用いて、表面からは見えない静脈の内部の状態を観察し、血液の逆流の有無や静脈の太さなどを確認します。

おもな治療法

圧迫療法

医療用の弾性ストッキングや弾性包帯で足を圧迫し、血液のうっ血や逆流を防ぎ、血液の循環を補助します。
※あくまでも進行防止・現状維持が目的の療法で、下肢静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、初期治療には効果的です。

硬化療法

静脈内に硬化剤を注射し、逆流している静脈を閉塞させる治療法です。
軽症の下肢静脈瘤に効果的です。

高位結紮(けっさつ)

足の付け根で弁不全を起こしている静脈を縛り、血液の逆流を防ぐ手術です。

ストリッピング手術

皮膚を2カ所切開し、静脈内に通した専用のワイヤーと悪くなった静脈を糸で結び、一緒に引き抜き、取り去る手術です。

血管内レーザー治療

静脈の中に細い管(レーザーファイバー)を挿入し、レーザーエネルギーによって発生する熱を用いて、悪くなった静脈をふさいでしまう治療法です。

下肢静脈瘤血管内レーザー治療

4つのメリット

  1. 細い針を刺すだけで治療ができる
  2. 治療後の痛みや出血が少ない
  3. 傷口が小さく、目立たない
  4. 保険適用が可能

レーザー治療の例

  • レーザー光を照射し、弁不全がある静脈の内側を焼くことにより、逆流している静脈を閉塞させます。

  • 静脈の逆流がなくなると、血液の循環がよくなり、症状が改善されます。また、ふくらはぎにあった静脈瘤も小さく、目立たなくなります。

下肢静脈瘤の種類

伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)

特徴
足の表面近くにある太い静脈(伏在静脈)がこぶのように膨らんだ静脈瘤
おもな治療法
高位結紮(けっさつ)術、ストリッピング手術、血管内レーザー治療
  • 伏在静脈瘤-治療前

    治療前

  • 伏在静脈瘤-治療後

    レーザー治療後(一例)

側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)

特徴
伏在静脈より枝分かれした静脈が膨らんだ静脈瘤
おもな治療法
圧迫療法・硬化療法

網目状静脈瘤(あみめじょうじょうみゃくりゅう)クモの巣状静脈瘤(くものすじょうじょうみゃくりゅう)

特徴
皮膚表面の細い静脈が網目状やクモの巣状に広がっている静脈瘤
クモの巣状静脈瘤
クモの巣状静脈瘤
おもな治療法
圧迫療法・硬化療法